近年は夏の猛暑が厳しく、熱中症が多発しています。夏をより快適に涼しく過ごすための方法をご紹介します。
夏のストレスから体を守るために
夏の暑さ直射日光といったストレスに負けないため、日常生活の中で体力を回復していきましょう。
能動汗腺を鍛える
汗腺(かんせん)とは汗を分泌する腺のこと。汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2つがあり、特にエクリン腺は気温の高いときに汗を出し、蒸発させることで体温を下げて一定に保つ働きがあります。
エクリン腺は、全身に200~500万個あると言われていますが、そのうち本当に働いているのは能動汗腺と呼ばれ、汗はそこからしか出ません。しかし汗をかく習慣がないと退化し、不能汗腺になってしまって暑い時に十分に汗をかくことができなくなってしまいます。
常時エアコンの効いた所で過ごしていると、汗の出にくい体になってしまい、いざ外出したときに体調を崩しがち。軽い運動や半身浴で積極的に汗をかくことで、能動汗腺の退化が抑えられ、体温調節システムを強化していくことができます。
ただし適度に汗をかいたらクールダウンを忘れずに。水分・塩分を補給しながら、涼しい所でしっかり体を休めましょう。
疲れをとる睡眠
暑い夏でもぐっすり眠れるように、ぬるめのお風呂にゆっくりつかり、足指の間やふくらはぎをもみほぐすのもオススメです。
食事で体力UP
暑いとどうしても冷たいものばかり食べたくなりますが、そうめんやアイスばかりだと栄養バランスが崩れます。お味噌汁を冷蔵庫で冷やして食べたり、ミョウガで香りを効かせて食欲を増したり、栄養バランスの良い食事をとるようにしましょう。
また東南アジアなどの暑い国では辛いものがよく食べられますが、これは辛さの刺激で発汗を促し、体温を下げる生活の知恵。辛いものが苦手でなければ、料理に唐辛子や香辛料を加えるなどしてみましょう。ただし食べすぎると胃腸が荒れ、かえって体調を崩すこともあるため、ほどほどに。
夏に大切な栄養素
体力消耗の激しい夏だからこそ、栄養素のバランスを整えることが大切です。
ビタミンB1
豚ヒレ肉 | 0.98mg | (100g当たり) |
うなぎ | 0.75mg | |
たらこ(焼) | 0.77mg | |
焼きのり | 0.69mg | |
ボンレスハム | 0.90mg |
糖質(炭水化物)をエネルギーに変える働きをしています。糖質を摂取してもビタミンB1を同時に補給しなければ、エネルギーとして使えません。
ビタミンB1が不足すると疲れやすくなったり、動悸・手足のしびれ・倦怠感などの症状が出ます。
ビタミンC
赤ピーマン | 170mg | (100g当たり) |
ゆず(果皮) | 150mg | |
パセリ | 120mg | |
レモン(全果) | 100mg | |
ケール | 81mg |
体内のウィルスを撃退する活性酵素を捕捉し、無害化する「抗酸化作用」があります。しみ・そばかすなどを防ぐ効果の他、胃腸の働きを助けストレスへの耐性を高めてくれます。
不足すると免疫力低下により、様々な病気のリスクが出てきます。
鉄分
豚レバー | 13.0mg | (100g当たり) |
鶏レバー | 9.0mg | |
パセリ | 7.5mg | |
卵黄 | 6.0mg | |
しじみ | 5.3mg |
血液の中で赤血球のヘモグロビンの成分になって、全身に酸素を運ぶ役割があります。
ただし発汗により体外に排出されてしまうため、夏は特に不足しがちです。不足すると血液が酸素を運ぶ力が弱くなり、立ちくらみやだるさにつながります。
必須栄養素を摂るにはしっかり食べることが重要です。しかし夏バテなどで食欲が落ちてしまい、食物だけでは栄養を摂りにくいときもあります。そうなると「夏バテ」→「食欲不振」→「栄養不足」→「さらに夏バテ」と悪循環に。どうしても食べられないときは、不足分を市販のサプリメントなどで補いましょう。
夏のストレスに効くアロマ
気温や湿度が高くなると不快指数が上がり、ストレスが溜まりがち。香りでストレスを和らげ、夏バテを回復しやすくする方法もあります。
アロマテラピーで涼感&快眠
夏にありがちな「だるい」「眠れない」「食欲がない」などといった症状は香りでやわらげることができます。
- だるい時/ローズマリーやペパーミントの香りがオススメ!
- 不眠ぎみな時/ラベンダーやオレンジの香りがオススメ!
- 食欲が出ない時/レモンや柑橘系の香りがオススメ!
芳香浴でリフレッシュ
お湯をはったマグカップやハンカチ、ティッシュなどにエッセンシャルオイルを1~2滴たらし、枕元やデスクに置けばアロマランプやアロマポットを使わなくても手軽に芳香浴を楽しむことができます。マスクにオイルをたらせば、外出先でも香りを楽しむことができます。
緑を育てて涼感アップ
植物は根から吸い上げた水分を葉から蒸散させるため、周りの熱を奪って温度を下げます。夏の晴れた日に、グリーンカーテンが周囲の温度を10℃以上下げたというデータもあり、温暖化の予防にも役立ちます。
グリーンカーテン
窓からの直射日光を避けるには、ネットを張ってつる性の植物を育てるグリーンカーテンが効果的です。また植物は陽に当たると二酸化炭素を吸って酸素を吐くので、空気がリフレッシュします。光に透けた緑が目にも涼し気なので、心理的なリラックス効果も。
つる性の植物は上に上に伸びようとするので、放っておくと間が空いてスカスカに。均等に下まで茂らせるときは、ときどき横方向につるの向きを修正してあげる必要があります。また土が乾いたらたっぷり水やりしましょう。散水ホースなどを使って葉にたっぷりかけると、涼風扇と同様、窓から入る風が一層涼しくなります。
グリーンカーテンにはゴーヤ(にがうり)やキュウリ、ヒョウタンなど、実が収穫できるものが人気ですが、アサガオやユウガオ、トケイソウなどの花を楽しめるものもオススメです。ただしグリーンカーテンとして葉を茂らせるにはひと月程度はかかるため、種まきは暑くなる前の4~6月頃から。遅くなってしまったら、ホームセンターなどで販売している苗から始めると失敗しにくいです。
観葉植物
マンションなどベランダで育てるのが難しい、外での水やりや手入れが大変という方は、観葉植物を育ててみましょう。パキラやモンステラ、オーガスタ、ヤシの木などを置くと南国リゾート気分を味わえます。
ただし観葉植物の中にはテーブルヤシやモンステラなど、直射日光が苦手な種類や、水やりの難しいものもあります。見た目だけでなく、お部屋の環境に合うものを購入先で相談しましょう。
我慢せずにエアコンも活用
暑さに体を慣らして健康づくりすることは大事ですが、無理は禁物。近年の猛暑は昔とは違い、根性で何とかなるレベルではありません。熱中症になるほどの我慢はやめましょう。
特に湿度が高い(70%以上の)ときは汗をかいても蒸発しにくくなるため、体温を十分に下げられません。扇風機や冷風扇なども気休めにしかならず、エアコンなどで湿度を下げないと室内でも熱中症になる可能性があります。
とはいえ冷やし過ぎは禁物。外との温度差がありすぎると、外出時に体調を崩しやすくなります。扇風機やサーキュレーターを併用して、設定温度を下げすぎないよう工夫しましょう。